【茶道家北野宗道先生、当社創業者(故)村地成章 】
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


  茶道の根本は「変化を味わう心」

北野四季は移ろい、相対する人も変われば、自分自身も変化する。一服の茶を通して、こうした変化を味わい、変化の中から不動のものを感じとる・・・これが茶道です。
だから茶道の根本は「変化を味わう心」だと言えます。
宇宙と生命の本質は変化であり、人、自然、時間……森羅万象(しんらばんしょう)のあらゆるものが動いています。

村地「変化をとらえる」という点では住まいも同じです。
人によって住みたい家が異なるだけでなく、同じ人であっても20代に住みたい家と50代で必要とする家は違ってきます。
身も心も環境も動いていく中で、いかにその人に合った家を創り出すか…。 そのために必要なことは変化の中から、変わらない部分をしっかり理解することだろうと思います。
つまりこれが「不変」であり「普遍」だと思います。
これさえ踏まえていれば、百人百通りの人生に合った家が提案できると思っています。
 

家は「人を養うところ」

北野 同じ一服の茶でも、時、ところ、相手によって、湯加減、御点前(おてまえ)の作法から味わいまでが変わってきます。すべては相手とのかかわりの中で決まっていく融通無碍(ゆうずうむげ)なものが茶道です。相手の心になり切ること、客を第一とした気配りからすべてが始まります。

村地お施主さんの立場になり切り、「人を養う場」としての住まいをいかに提案するか、このあたりで何か茶道に通じるような気がします。

北野「効用」ばかりを考える社会がしばらく続いてきましたが、これが良くありません。お茶も住まいも、一見、不合理と思われる合理性が必要です・・・。
たとえば、床の間という空間。床の間は日本文化の原点であり、人をつくる小宇宙です。人間の精神を形にして表現する場であり、その家の主人が何を求めているかが表現される空間です。
時には禅語などを掛けて、
自分より勝るもの、もっと大きなものがあることを知る。
自分が未熟だと思えたときは床の間に自分を叱咤激励してもらう。
自分が留守のときは、床の間が代理人となって客と相対してくれ、子は床の間を見て親の深い部分を感じる…。それが床の間だと思います。



新しさの中に古いものを尊重してゆく

村地最初の頃、“軽い家”をつくろうと心掛けた時期がありました。そして、次は“重い家”になり、今は古い家に興味を感じています。やはり伝統の重みは無視できないと近頃は痛感しています。
伝統に磨かれた家は日本の気候風土にも合っていますし、何よりも人の心にフィットするものがあります。
「ほっこりする」・・住まいの基本にはこれが必要です。
ただし、古いものにばかりこだわり過ぎると「変化を見抜けない状態」に陥ってしまいます。効率一辺倒でも、伝統一辺倒でも良くないと考えています。
私たちが目指しているのは、
新しさの中に古いものを尊重してゆく謙虚さです。


北野茶室では彼岸(ひがん)の地である北を向いて東南の明かりをとりながら「おてまえ」をするのが原則です。しかしそれが無理ならば、今ある窓で明かりをとるようにします。
これがすなわち自在ということです。

原理原則が分かってくると、どんな場所でも茶室として使えます。形を不動のものと考えると茶は死んでしまいます。



広い土間は不思議に無駄を感じさせない

村地古き良きたたずまいは、まるで生きることがすがすがしい修業であるかのように語りかけて来ます。そして、全てを科学的に理解しようとしがちな現代の私たちの誤りを厳しく指摘しているような気がします。
日常頻繁に使用される居間や台所は「快適さ」と「便利さ」が大いに追求されなければなりませんが、その一方で、快適なだけが良い住まいではないことを、伝統建築の中から学んでいきたいと思っています



町に新しい素敵な風の音‥‥

村地町づくりの基本にもとづいて建物が造られ、逆に建物が造られることによって町がつくられてゆく。―この当たり前のことが頭で理解されているだけではなく、気持ちで理解され、ひとつひとつていねいに建物が造られてゆくとき、町には素敵な風が吹きます。
風は木の葉を散らせ、少女の髪をたなびかせ、人々の目を楽しませてくれます。そして何よりも、大切な町の匂いを運びます。
私たちの建物づくりは、さわやかな風の音を奏でる楽器づくりでありたいと思っています。



気持ちはいつも未来進行形

村地私たちが目指すものは
「百人百通りの人生に合った家」
「心が安らぐ家」
「人を養い育てる家」
それともう一つ、
「5年、10年先の未来を見すえた家」
たとえば、子育て真っ最中のお客様のご要望にお応えするあまり、子供が成人した後、夫婦二人だけで過ごされるお客様の未来を見落としてはならないように・・・。
一方、私たちが心がけているものは
「社員一人ひとりが専門技術を確立していくこと」
「古いものを新しい感覚で理解していくこと」
「新しいものを取り入れていくことに消極的でないこと」
「常に未来に目を向けていること」
・・・など。
私たちはこうしたことに留意しながら、お客様の多様な個性を住まいづくりに反映していける事を願い続けています。